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怪奇事件ファイル5【SOS遭難事件】

 この不可解な遭難事件が発覚したのは1989年7月24日の午後のことであった。北海道大雪山系旭岳にて二名の登山者が遭難したとの通報を受け、北海道警察の救助用ヘリコプターが上空から捜索を始めた。やがて登山ルートから外れた位置にある旭岳南方の忠別川源流の辺りで、白樺の倒木を複数本使って組み合わされた巨大な「SOS」の文字を発見したのである。(横2mに縦5mの文字が三文字並び、その文字の一部には倒木が三本以上も積み重ねられていた。)

 この「SOS」により救助隊はその場所を中心に改めて捜索を始めた。そしてそこから数キロ離れた所で遭難者二名を発見し、無事救助したのであった。これで遭難事件は一件落着したと思いきや、救助された二名のある証言により事態は混迷を極めることとなる。

 なんと、あの「SOS」の文字について遭難者二名に聞き取りをしたところ、その二名は「知らない」と答えたのだ。その二名が作ったものではないとすると、では他にも遭難者がいるのか!?ということで急遽、北海道警察は捜査を再開し、その付近を隈なく調べたところ、翌日の25日にその付近で男女の白骨化した遺体を発見した。更にそこから100m程離れた場所に遺留品と思わしきリュックサックも見付かったのだ。

 そのリュックの中には男性の免許証や日用品、そしてカセットレコーダーとカセットテープが入っていたのだが、問題はその本人の声が録音されたカセットテープだった。

 当時のワイドショーなどではこの《倒木で作られたSOS》《カセットテープに残された音声が大々的に報道され、そのミステリアスな内容から多くの憶測や噂が飛び交って、怪事件として今も尚語り継がれている。それが通称「SOS遭難事件」である。

 

 この事件において一番世間を震撼させたのは、遺留品の一つであるカセットテープの存在かもしれません。そこには、ほぼ絶叫に近い大声で救助を求める男性の声が2分17秒の長さで録音されていたのである。内容は下記の通り↓

「がーけーのーうーえーでー身動きとれずー!エースーオーエース!たーすーけーてーくーれー!がーけーのーうーえーでー身動きとれずー!エースーオーエース!たーすーけーてーくーれー!場所は初めにヘリで会ったところー!ササ深く上へはいけないー!こーこーから吊り上げてくれー!」

 

この事件で謎めいている部分は・・・

❓謎その1・・・遺留品は男性のものだけで、女性の遺留品は何一つ見付かっていないのはなぜか?その女性は何も持たずに山へ登ったのだろうか?

❓謎その2・・・重い倒木を何本も運んで巨大文字を作る体力があったにも拘わらず、昼間のうちになぜ下山しようと考えなかったのか?

❓謎その3・・・カセットテープにも残されていた通り、本人は「身動き取れず」と言っており、後の鑑定結果でも骨折の痕があった為、恐らくその時男性は骨折していて身動き出来なかった模様。では、あの巨大文字はどうやって作ったのだろうか?

❓謎その4・・・また「崖の上で身動き取れず」と言っているが、男性の遺体が発見された場所は崖ではなく、比較的見渡しの良い湿原であった。内容が食い違う。

❓謎その5・・・そもそもなぜカセットテープに録音する必要があったのか?

(因みに、救助を求めて叫ぶ男性の声の他に、なぜかアニメの主題歌が収録されておりそれが異様な不気味さを抱かせた。)

 後に、男性の遺留品から身元が特定され、1984年に行方不明となった愛知県在住の当時25歳の男性会社員と判明。更に、遺体の再鑑定が行われた際、人骨は一人分である事が確認され、結果的に男女二名ではなく男性一名のみであった事が分かった。つまり、男性と共に遭難していた思われていた女性は最初からいなかったのである。

 そして問題のカセットテープであるが、たまたま上空を通ったヘリコプターに助けを求めて叫ぶ際に、偶然録音のスイッチが入っていたのではないかと推測されたのだが、明確な答えは出ていない。この事件もまた本人のみぞ知る怪奇事件なのである。

 

 実際の画像がこちら👇 

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